サムエル記第一15章-2

サムエル記第一15章-2(10-21節)
=本章の内容=

➌サウルの言い訳

=ポイント聖句=[/su_la

20-21,サウルはサムエルに答えた。「私は、主の御声に聞き従い、主が私に授けられた使命の道を進みました。私はアマレク人の王アガグを連れて来て、アマレク人たちは聖絶しました。兵たちは、ギルガルであなたの神、主にいけにえを献げるために、聖絶の物の中の最上のものとして、分捕り物の中から羊と牛を取ったのです。

=注目聖句=

11,「わたしはサウルを王に任じたことを悔やむ。彼はわたしに背を向け、わたしのことばを守らなかったからだ。(新改訳2017版)

11,It repenteth me that I have set up Saul to be king: for he is turned back from following me, and hath not performed my commandments. (KJV)【直訳】わたしがサウルを王に立てたことを悔いています。サウルはわたしに従うことから引き返され、わたしの戒めを実行しなかったからです。

11, I am sorry that I ever made Saul king, for he has not been loyal to me and has refused to obey my command. (NLT)【直訳】私はサウルを王にしたことを後悔しています。サウルは私に忠実ではなく、私の命令に従うことを拒んでいるからです。

※「悔やむ」は創世記6章(6・7節)と本章で使われているだけ。ここでこの単語を注目語句にあげた様に「後悔する」と訳した場合「神も失敗することがある」との意味合いになってしまい「人間を作らなければ良かった」と神様が思っていることになってしまう。神様はそんな無責任な方ではないはず。むしろ原語の他の意味に「哀れみに駆られる,気の毒に思う」があることから、神様がサウルが人間故の愚かさに陥っていることに激しく心を痛め同情なさっていると考えたほうが妥当と思われる。

=黙想の記録=

➌10-21節:サウルの言い訳・・・「11,わたしはサウルを王に任じたことを悔やむ」との言葉は「後悔した」の意味ではなく「激しく心を痛め同情した」と意味と思われます。サウルが人間故の愚かさに陥っていることに神様が激しく心を痛め同情なさっていることを表現したものです。ここでサムエルが怒りの感情を爆発させたのは複雑な思いが絡み合っていたと思われます。その一つは慈愛の神がここまで悲しんでおられることへの悔しさです。ちょうど断腸の思いをもってイエス様を十字架に付けなければならなかった父なる神様のお心を知っておられたイエス様の心の様子と同じです。二つ目はサウルへの継続した薫陶に欠けていた自分の失態または愛情の無さを後悔する思いです。サムエルはサウルの失態を自分のことの様に受け止めサウルに成り代わり主なる神様へ謝罪したのが「夜通し主に向かって叫んだ」との様子だったのです。翌朝サムエルは居ても立っても居られずサウルに会いに行きます。サウルは戦勝記念碑まで立て意気揚々としているところにサムエルの訪問があります。サウルはサムエルから称賛・慰労の言葉を投げかけられるのを期待し挨拶します。サウルにとってアマレク人への大規模な掃討作戦が成功裏に終わっていたからです。「13,・・・私は主のことばを守りました。」とぬけぬけと言ってのけます。ところがサムエルの第一声は叱責でした。サウルは捕虜の王アガグと分捕って来た家畜は勝利の証と見なしていたのです。「14,・・・では、私の耳に入るこの羊の声、私に聞こえる牛の声は、いったい何ですか。」の皮肉にも聞こえてくる指摘はサウルを狼狽させます。この言葉の意味するところは「聖絶していない=主なる神様の命令に背いている」ことなのです。この指摘に対しサウルは次の様に返答します。「15,兵士がアマレク人のもとから引いて来たのです。彼らはあなたの神、主への供え物にしようと、羊と牛の最上のものを取って置いたのです。ほかのものは滅ぼし尽くしました。(リビングバイブル)」と取って付けた様に二つの嘘を平気でつくのです。嘘の一つ目は兵士が自発的に考え行動した結果であるとしたことです。「自分の意志ではなく兵達の自発的な行為」であると自分に塁が及ばないように兵達に責任転嫁しているのです。二つ目は最良の家畜は自分の私有財産としたかったのは明らかです。しかし事が発覚すると宗教儀式に使う目的だったと殊勝なことを言ってのけるのです。あたかも自分が正しい信仰者であるかのようにふるまったのです。サムエルはサウルの言い訳に辟易としている様子が分かります。サムエルが言いたかったのはただ一つのことです。それはサウルが「主の御声に聞き従がわなかった」ことです。ところがサムエルに断罪されても20-21節でサムエルは同様の言い訳を繰り返すのです。悔い改めの障害になるのは自己弁護をすることです。自分を否定できず自分を生かしておくことです。

=注目語句=

語句①悔やむ(11・21):英語repent(KJV),be sorry(NLT);ヘブル語ナハ―ム[悔いる,後悔する,悲しむ,哀れみに駆られる,気の毒に思う]

語句②怒る(11):英語was distressed (KJV), deeply moved(NLT);ヘブル語ハラ―[熱く、激しく、怒る、燃え上がる]

語句③記念碑(12):英語place(KJV), monument(NLT);ヘブル語ヤアドゥ[人の手,記念碑]・・・サウルの手形が彫られていたとの説もある。

=注目地名=

地名①カルメル(12):英語Carmel;ヘブル語キャルメール[庭園のある土地]・・・ハイファのすぐ下にあるイスラエル北部の地中海沿岸の山