サムエル記第一12章-1

サムエル記第一12章-1(12:1-11)
=本章の内容=
❶誠実なサムエルと主なる神様
=ポイント聖句=5,サムエルは彼らに言った。「あなたがたが私の手に何も見出さなかったことについては、今日、あなたがたの間で主が証人であり、主に油注がれた者が証人である。」
=注目聖句①=2,今、見なさい。王はあなたがたの先に立って歩んでいる。私は年をとり、髪も白くなった。そして、私の息子たちは、あなたがたとともにいる。私は若いときから今日まで、あなたがたの先に立って歩んできた。(新改訳2017)
2私は自分の息子よりも、この人を選んだ。私は若いころから公の務めについてきたが、今や白髪頭の老人になった。(リビングバイブル)
2,And now, behold, the king walketh before you: and I am old and grayheaded; and, behold, my sons are with you: and I have walked before you from my childhood unto this day.(KJV)【直訳】今、見よ、王はあなたがたの前を歩き、わたしは年老いて白髪になり、見よ、わたしの子らはあなたがたと共にあり、わたしは幼年時代から今日まで、あなたがたの前を歩いてきました。
2,Your king is now your leader. I stand here before you—an old, gray-haired man—and my sons serve you. I have served as your leader from the time I was a boy to this very day.(NLT)【直訳】あなたの王は今、あなたのリーダーです。 私はあなたの前に立っています-白髪の老人-そして私の息子たちはあなたに仕えています。 私は子供の頃から今日まであなたのリーダーとして働いてきました。
※「私の息子たちは、あなたがたとともにいる。」の言葉から二人の息子は、最高権力を持っていた父親サムエルの同意のもと、単なる民間人の状態に引き下げられていたことが理解できる。
=注目聖句②=5-6,サムエルは彼らに言った。「あなたがたが私の手に何も見出さなかったことについては、今日、あなたがたの間で主が証人であり、主に油注がれた者が証人である。」そこで、ある人が「証人は」と言うと、サムエルは「主である。モーセとアロンを立てて、あなたがたの先祖をエジプトの地から上らせた方である」と民に告げた。(新改訳2017)
5-6,「では、私があなたがたから非難される点が何一つないことについては、主ご自身と、主が油を注がれた王が証人ということでよいか。」「はい、そのとおりです」と彼らは答えました。サムエルは続けました。「モーセとアロンをお選びになったのは、主であった。主があなたがたの先祖をエジプトから導き出してくださったのだ。(リビングバイブル)
※主に油注がれた者は明らかにサウルのこと。「主ご自身が証人」であると言い切っているが仮にサムエルが不正を行っていたのなら主の厳罰を受けることになる。
=黙想の記録=❶1-11節:誠実なサムエルと主なる神様・・・サウルの王位樹立の儀礼に凡そ似つかわしくない説教を始めたサムエルです。説教の内容は以下の二つです。第一はサムエルが民に対して如何に振舞ってきたかを述べたものです(2-5節)。第二は主なる神様が如何にイスラエルの歴史に関与してきたかを述べたものです。二つに共通するのは主なる神様もサムエルもイスラエルの民に対して如何に誠実に接してきたかでした。両者は如何なる場面においても民に何か犠牲を強いることもなくまた搾取することもなかったのです。それどころか問題の局面にあってはいつでも率先して解決に当たっていたのです。特に異教徒がイスラエルに侵略してきた時に数々の奇跡をもって敵をなぎ倒されたのは多くの英雄たちではなく、創造主にして自然界をも治める主なる神様ご自身であったのです。そもそも圧政下のエジプトではあってもイスラエル人を大いに増やし一国民を築いてくださったのは主なる神様です。圧政下に押しつぶされそうになった民の叫びの声を聞かれ数々の奇跡をもってエジプトから救い出したのも主なる神様です。また士師の時代に残酷な異教徒であるアンモン人(シセラ)の攻撃から救い出したのも主なる神様だったのです。『6,サムエルは「主である。モーセとアロンを立てて、あなたがたの先祖をエジプトの地から上らせた方である」と民に告げた。』とあるように、出エジプト以降最後の士師サムエルが指導するまでイスラエルは預言者と大祭司等による神聖政治でした。この政治形態で十分イスラエルは守られてきたというのがサムエルの主張でした。