サムエル記第一11章-1

サムエル記第一11章-1(1-4節)
=本章の内容=
❶ナハシュのヤベシュ・ギレアデ攻撃
=ポイント聖句=4,使者たちはサウルのギブアに来て、これらのことばを民の耳に語った。民はみな、声をあげて泣いた。
[戦闘の経緯] [1]アンモン人ナハシュのヤベシュ・ギレアデ攻撃・・・ギブアから約90km北北東方 [2]ナハシュの残酷な和睦条件を突き付けられる [3]サウルに助けを求める・・・ナハシュ7日間の猶予を求める間に長老を使者として送る。 [4]サウルがイスラエル全部族に兵の召集を命じる・・・命令に背けば報復があると勧告 [5]べゼクにイスラエル人兵30万人ユダ族3万人が集結 [6]アンモン人掃討 =黙想の記録=❶1-4節:ナハシュのヤベシュ・ギレアデ攻撃・・・好戦的なアンモン人の国王ナハシュは、イスラエルには老齢のサムエルしか指導者がいないのを好機とみなし王国と国境を接するヤベシュ・ギレアデを包囲します。ヤベシュ・ギレアデの町を攻撃したのはエフタ(ギルアデ出身)の手によって受けた恥辱(士師記11:12-28)を晴らすためと思われます。包囲されたヤベシュ・ギレアデの人々は和睦を申し入れますが、ナハシュから突き付けられた条件は「ヤベシュ・ギレアデの男たちが各々自分の右目をえぐり取る」という残酷なものでした。これはアンモン人の奴隷となることを意味しています。7日間の猶予の間にヤベシュ・ギレアデの長老たちがサウルの元に助けを求めにやってきます。ナハシュが7日間も猶予を与えたのはイスラエル人が反撃することはないと踏んだからです。サウルの存在は無視されていました。ヤベシュ・ギルアデの長老たちの報告を聞き、ギブアの人々は深く同情し慟哭します。ベミヤミン族の悲劇(士師記19-21章)は同部族の子孫らに語り伝えられてきた暗黒の歴史です。この暗黒の歴史を共有していたからこそ心が激しく動いたのです。
=注目語句=語句①アンモン人(1):英語Ammonite;ヘブル語アモーン・・・ヨルダン川東側にあるイスラエルの入植地の南と東にはアンモン人とモアブ人の強力な部族が住んでいた。アンモン人はアルノン川の北にモアブ人はアルノン川の南に住んでいたようである。アンモン人は猛烈な略奪部族であり、モアブ人は定住し文明化された国であった。ロトを共通の祖とする絆で結ばれていた彼らはイスラエルに対して同盟を結んでいたが、士師記時代に二度イスラエルを抑圧した(士師記3:12-14;士師記10:11)。エフタに敗北した後、アンモン人はこの時まで言及されていない。
=注目人名=人名①ナハシュ(1):英語Nahash;ヘブル語ナハシュ[蛇]