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サムエル記第一10章-2

サムエル記第一10章-2(13-27節)
=本章の内容=

❷サウルの叔父➌くじで国王を選ぶ❹故郷に戻ってしまうサウル

=ポイント聖句=

24サムエルはすべての民の前で宣言しました。「この人こそ、主が王としてお選びくださった人だ。イスラエル中で、この人の右に出る者はいない!」「王様、ばんざーいっ!」民の間から喜びの叫びが上がりました。(リビングバイブル)
26,サウルもギブアの自分の家へ帰って行った。神に心を動かされた勇者たちは、彼について行った。

=黙想の記録=

=主な内容=

❷13-16節:サウルの叔父・・・高き所とはサムエルが利用していたラマにある礼拝場所のこと。とするとこの時点でサウルは自宅に戻らず、今まで自分の身に起こったことを瞑想する為に若干の時をここで過ごしたと言えます。帰宅途中で叔父に出会いますがこの人物こそ後にサウル軍の総司令官となったアブネルその人です。サウルの父親はここに登場しませんが、息子が自ら語り出すまでは何も聞くまいと思ったのでしょう。サウルや父とは好対照に叔父アブネルは父親を差し置いて好奇心丸出しで今までの顛末を聞き出そうとするのです。短時間であってもサムエルに会ったことや預言者学校の一団と合流していたことにきな臭さを感じていたのです。この個所はアブネルが最初から政治に関心があり野心家であることを表現したものです。「16,・・・サムエルが語った王位のことについては、おじに話さなかった。」とあることから、サウルはこの叔父のことを信用していなかったことが分かります。
➌17-22節:くじで国王を選ぶ・・・サムエルは国王を任命する為にミツパに各部族の長たちを招集します。「主なる神こそイスラエルの王であるがイスラエルはこの方を退け人間を王に立てる愚を演じている。今国王を決める」と宣言するのです。既にサウルに油を注いでいるので初めからサウルを紹介することもできたはずです。しかしそれではサムエルの独断で決めたことになり、主なる神様がそこに介在していなかったことになるのです。部族>氏族>家>個人とくじにより絞り込んでいくとサウルに当たります。21-22節を見るとサウルはその会合場所にはいません。サウルが会場に居れば「22,サウルが民の中に立つと、民のだれよりも、肩から上だけ高かった。」とあり目立った存在になってしまうのです。仮にその場に居たとすれば人々にはサムエルとサウルの間に密約がすでにできていたと疑われるのです。またサウルは荷物の間に隠れていたのは臆病だからではなく、この時点でサウルは国王になることに固執していなかったことを表現したものです。もし会場に居合わせれば国王になる野心を抱いていたと人々に思わせてしまうからです。
❹23-27節:「23,彼らは走って行って、そこから彼を連れて来た。サウルが民の中に立つと、民のだれよりも、肩から上だけ高かった。」とありますが、人々がその外見に驚嘆しまた満足しているところです。人々がサウルの内面ではなく外面だけで満足してしまう様子を表現したものです。『24,サムエルは民全体に言った。「主がお選びになったこの人を見なさい。民全体のうちに、彼のような者はいない。」』の個所は「あなた方が選んだの王は容姿端麗にして申し分ない体格をしている。アイドルみたいに人気が出るだろうよ。」と言い換えられます。つまり神聖政治を捨てこの世の慣わしに陥っていく民への当てこすりとも思われる言葉が並べられています。『民はみな、大声で叫んで、「王様万歳」と言った。』とあります。本来なら「主よ感謝します」と栄光を主なる神様に帰すべきなのですが人々の胸中に慈愛に富む神様は存在していないのです。サムエルは「王権の定め」を文書化し厳重に保管させます。残念ながらこの文書が読み上げられたのもこれが限りです。国王も民もすぐに忘却の彼方に追いやってしまうのです。サウルはギブアに戻り、そこにサウルに
同調する人々が集まってきます。ところが「ちょうどそのとき、サウルが牛を追って畑から帰って来た。(11:5)」とあるようにサウルは国王としての責務を果たしていません。それは『27,しかし、よこしまな者たちは、「こいつがどうしてわれわれを救えるのか」と言って軽蔑し、彼に贈り物を持って来なかった。しかし彼は黙っていた。』の他者の非難があったからです。さらにこの時点ではイスラエルの人々に国王への期待感はさほど強くなかったことを表しているものです。ペリシテ人の動きも緩慢だったのでしょう。

=注目人名=

人名①サウルのおじ(14):英語Saul’s uncle;ヘブル語サウル・ドッドゥ・・・アブネルと推測される。(Ⅰサムエル14:50)サウルの司令官となったが野心家であった。

=注目語句=
語句①王様万歳(24):英語God save the king.(KJV),Long live the king!(NLT);ヘブル語ハヤー・メレク[王を生きながらえさせる]