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サムエル記第一10章-1

サムエル記第一10章-1(1-12)
=本章の内容=

❶油注ぎと3つのしるし

=ポイント聖句=

6,主の霊があなたの上に激しく下り、あなたも彼らと一緒に預言して、新しい人に変えられます。

=黙想の記録=

❶1-12節:油注ぎと3つのしるし・・・第三者のいない場所でサムエルは主なる神様から託された御言葉を全てサウルに伝えます。その前に油をサウルの頭に注ぎます。頭に油を注ぐ行為は聖職に付くため聖別を宣言するものです。油を頭に注ぐためにサウルは跪かなければなりません。また地面に顔を向ける姿勢はサムエルに敬意を表すことになります。油がサウルの頭に注がれた後サムエルがサウルの額に口づけするのです。口づけは親愛の情を示したり相手を祝福する為の表現方法で親子関係・師弟関係・友人関係の間柄で行われたものです。その後で初めてサムエルの一連の行為は「主なる神様がサウルをイスラエルの君主として選ばれた」ことを告げる為のものであったと明かすのです。サムエルと出会ってから今までに起こったこと全てにサウルはいまだに混乱しています。そこでサムエルはサウルの帰宅途中で遭遇する三つの出来事を預言します。三つの出来事はサムエルの宣告が主なる神様からものであることを確証させる為のものでしたその三つの出来事とは以下の通りです。この三つの預言は時と場所と内容が確定されていました。若きサウロの信仰を強める為、これら3つの預言に厳粛な教訓が含まれていました。

[1]①ラケルの墓で②二人の男に会うこと③ろばが見つかったこと④「サウルの父がサウルのことを心配している」という男たちの伝言ことがすべて実現したのです。・・・ろばが見つかっているとの知らせはサウルに一時の安堵をもたらします。若さは自分の死を意識できない時があります。ラケルはサウルの祖であるベニヤミンの母でありその墓は「死者の休息場所」とされていました。いならぶ偉人たちがここに眠っているのです。サウルもやがてここに葬られるはずです。しかし、信仰を外れ国王として相応しくない歩みをすればこの場所には葬られないのです。死を意識する時人間はいかに生きるべきかを考えさせられるのです。

[2]①タボルの樫の木の近くで②ベテルの祭壇に向かう三人の男たちに出会うこと③一人は子やぎ三頭を携え一人はパンを三つ他の一人はぶどう酒の皮袋一袋を持っていること④挨拶をし⑤パンを二つくれることがすべて実現したのです。・・・男たちが持参した献げ物は全てこの地域の産物です。パンを受け取るというのは、サウルが主に油注がれた者として聖なる者であり聖なるパンを食べる資格があったということです。これらは彼らの労働の実です。またこれらを運搬するのはかなりの重労働です。三つパンのうち二つも受け取るのです。男たちの手元には三分の一しか残らないのです。つまりサウルはこれから国王として臣民の労苦によって支えられていることを自覚すべきなのです。

[3]①ギブア・エロヒムで②預言者の一団が③琴、タンバリン、笛、竪琴を鳴らし、預言をしながら丘を降りて来るのに出会う④主の御霊が彼に臨み預言者たちと共に預言する⑤神の霊が激しく下りサウル自身も共に預言を始める⑥全く別人になったように感じまたそうふるまう・・・「預言者の一団」とはサムエルが若い男性を訓練するために設立した「預言者の学校」です。主なる神様の御言葉に精通する事・愛国心を醸成する事などが目的の様です。イスラエルの人々の道徳的および精神的発達に貢献した人々です。サムエルはサウルにこの若者たちと面識を持たせ、サウルが国王となったときの良きブレーンとならせるためだったのです。さらにサムエル自身が神の御言葉に良く精通する者であり続けて欲しいとのサムエルの願いでもあったのです。「7,これらのしるしがあなたに起こったら、自分の力でできることをしなさい。神があなたとともにおられるのですから。」の言葉には、これら3つの経験からサウルがサムエルの意図するところを汲んだのならそれを政策に繋げるのはサウルの役目だという意味がこめられていたのです。また「11,・・・サウルも預言者の一人なのか。」の言葉は新生前のサウルが主なる神についてほぼ無関心であったことを表したものです。またサムエルが設立した預言者学校の生徒になったのではないかとの疑いを表したものです。

●四つ目の預言「8,私より先にギルガルに下って行きなさい。私も全焼のささげ物と交わりのいけにえを献げるために、あなたのところへ下って行きます。私があなたのところに着くまで、そこで七日間待たなければなりません。それからあなたがなすべきことを教えます。」はこの時点では実現されません。ギルガルでサムエルと出会うのは実に8年後サウルが王位についてから1年後でペリシテ人との本格戦闘の直前でした。ギルガルに各部族の兵が集結した時です。この戦闘はサムエルの立ち合いのもと厳粛な宗教儀式から始めなければならなかったのです。ところがサウルは民の湧き上がってきた不安を解消しようと勝手にこの儀式を自ら始めてしまったのです。主なる神様の預言者や神様の直接の命令よりも自分の思いを優先させようという誘惑に負け大罪を犯してしまうのですてしまったのです。。(1サムエル13:1-14)・・・せっかっく新生したサウルの輝かしい姿を見せられたのに読者は水を掛けられたような思いになるのです。

=注目地名=

地名①ツェルツァフ(2):英語Zelzah;ヘブル語ツェルツァフ [影]・・・エルサレムから南西8kmのラケルの墓に近いベニヤミンの境界にある場

地名②タボル(3):英語Tabor;ヘブル語タボール[塚・盛り土・土手]・・・バラクがシセラとの戦いの前に陣を敷いた箇所

地名③べテル(3):英語Bethel;ヘブル語ベイツエル[神の家]・・・エルサレムの北19km、アイの西にある町。アブラハムが祭壇を築いた所。ヤコブが天使の梯子を見た場所。

地名④ギブア・エロヒム(5):英語the hill of God(KJV)Gibeah of God(NLT);ヘブル語 [神の丘]・・・礼拝する場所。当時ペリシテの駐屯地があった。