サムエル記第一8章-2

サムエル記第一8章-2
=本章の内容=
❷絶対王政への警告
=ポイント聖句=19-20,しかし民は拒んで、サムエルの言うことを聞こうとしなかった。そして言った。「いや。どうしても、私たちの上には王が必要です。そうすれば私たちもまた、ほかのすべての国民のようになり、王が私たちをさばき、私たちの先に立って出陣し、私たちの戦いを戦ってくれるでしょう。」
=参考資料【王の規定】=申命記17:14-20にはすでに「イスラエルの王」についてモーセ自身が言及しています。律法として以下の内容が規定されています。
[1]主なる神様が選んだイスラエル人に限定される。 [2]国王の為の軍事力(軍馬など)を保持してはならない。 [3]政略結婚(他国との同盟関係構築)の為に多くの妻を持ってはならない。 [4]莫大な私有財産を蓄えてはならない。 [5]主なる神の言葉を毎日拝読し、また主の律法を遵守すること。 =黙想の記録=❷7-22節:絶対王政への警告・・・サムエルが申命記17章の王の規定を知らぬはずがありません。イスラエルは人間の国王を統治者として選ぶことは、取りも直さず主なる神様による直接統治(神聖政治)を拒否することになるのです。その事態が自分の世代に訪れようとは思いもよらなかったのです。自分が尽力してきた宗教改革の行きつく果てが主なる神様を否む結果となったことにサムエルは意気消沈してしまうのです。サムエルの心を知り主なる神様はサムエルを擁護するように言葉を掛け、預言者としての責務を告げるのです。それはイスラエルに「王の権利」を言明することでした。そこには7つの自由が喪失される事実がありました。以下リビングバイブルから王の権利を抜粋。
[1]あなたがたの息子は王の軍隊に取られ、王の戦車の前を走ることになりかねない。中には、戦場に追いやられる者も出るだろう。 [2]そして、残りの者はみな、奴隷のように働かされる。王家の領地を耕し、刈り入れにも無報酬で駆り出され、武器や戦車の部品作りにも動員されるのだ。 [3]王はあなたがたから娘も取り上げて、料理をこしらえたり、パンを焼いたり、香料を作ったりすることを強いるだろう。 [4]それに、ぶどう畑やオリーブ畑のうち、最良の場所を王家の所領に差し出さなければならない。 [5]収穫の十分の一は、年貢として王の家来たちに納めなければならない。 [6]奴隷や屈強の若者、それに家畜まで、王の私用のために駆り出されるのだ。 [7]羊の群れも十分の一を要求されるし、結局、自分たちが奴隷となるわけだ。サムエルから語られる王の権利は事実イスラエルに王国が立てられてからすぐに実行されてしまいます。邪悪な王が次から次に立ち、民の自由を奪っていくのです。しかしこの厳粛な警告をイスラエルは単なる脅かしと感じていたようです。イスラエルはサムエルの警告に耳を傾けることはありませんでした。またもサムエルは自分の警告が民に届かない事に落胆しますが、ありのままを主なる神様に報告します。主なる神様は再度言葉を掛けられ預言者としての責務を果たすように命じられるのです。確かにダビデ・ソロモンの時代にこの時のイスラエルが望んだように国は富み強大な軍事力を持つ国家となっていくのです。しかしソロモン以降のイスラエルは主なる神様への信仰を捨て異教の神々と風俗に染まっていきます。その結果国家は二つに分裂し、さらに他国の侵略を受け国は滅ぶのです。