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サムエル記第一4章-1

サムエル記第一4章-1
=本章の内容=

❶ペリシテ人台頭と契約の箱

=ポイント聖句=

3,兵が陣営に戻って来たとき、イスラエルの長老たちは言った。「どうして主は、今日、ペリシテ人の前でわれわれを打たれたのだろう。シロから主の契約の箱をわれわれのところに持って来よう。そうすれば、その箱がわれわれの間に来て、われわれを敵の手から救うだろう。」
【時系列で追うペリシテ人との戦い】 [1]両軍の陣取り:イスラエル軍(エベン・エゼル)Vsペリシテ軍(アフェク)

[2]戦闘1回目:イスラエルの敗戦4000人戦死

[3]長老会議:敗戦の理由を契約の箱の有無と関連付ける

[3]契約の箱を陣営に運ぶ:イスラエル軍歓喜・ペリシテ軍動揺するがかえって奮起させる

[4]戦闘2回目:イスラエルの敗戦30000人死亡。神の箱奪われる。ホフニとピネハス戦死。

=黙想の記録=

❶1-11節:ペリシテ人台頭と契約の箱・・・サムエルが主に選ばれた預言者であることがイスラエル全土に認知されます。同時にペリシテ人の勢力が増し2度の衝突が起こります。最初の戦闘でいきなり4000人のイスラエル兵を失います。長老会議では敗戦の理由を主に伺うことがありませんでした。そればかりか契約の箱を担ぎ出し突破口を開こうとしました。恐らくここにはエリの二人の息子の愚かな提言があったのではないでしょうか。本来契約の箱を運び出す許可は大祭司がするはずです。日頃の素行の悪さに対する多くの非難を後ろめたくおもっていたのでしょう。ですから契約の箱を担ぎ戦闘に加わることで汚名挽回しようとしたのかもしれません。契約の箱を持ち出す根拠とはどこにあったのでしょう。ヨルダン川渡河の際、祭司たちに運ばれてきた契約の箱がヨルダン川を堰き止めイスラエル軍を無事に向こう岸に到着させたという経緯をエリの子供たちと長老たちは覚えていました。「契約の箱を担ぎ出せば何とかなる」は主なる神様を全く無視した勝手な行動だったのです。契約の箱そのものにパワーが宿っていたわけでは無く、契約の箱を介して主なる神様の御力が表されたのです。ヨルダン川渡河の前には渡河を確約する主の言葉がありました。しかし今回のペリシテ人のとの戦闘行為では、主なる神様にお伺いを立てることは一切していないのです。彼らは主の戦いの手順を踏んでいなかったのです。元よりエリの息子たちには日頃から主なる神様にお伺いを立てる習慣などなかったのです。更に踏み込んだ言い方をするなら「契約の箱を勝手に運び出す行為」はイスラエルが「契約の箱自体を偶像化した」ことになるのです。荒野に居た時の金の子牛同様なのです。ところで作者は本章にとても滑稽に見える記述を残しています。それは肝心のイスラエル人に神様への恐れは皆無だったのに異教徒のペリシテ人の方が主なる神様を恐れていたというところです。ペリシテ人は出エジプトの際イスラエルの神がエジプト人をいかに苦しめたかを記憶していたのです。皮肉なことに契約の箱が戦地に届くことで敵であるペリシテ軍の士気をかえって高める結果となったのです。その結果2回目の戦闘で30000人ものイスラエル兵が亡くなるのです。神の陣営と恐れられた契約の箱も担ぎ出されていたのに何の意味もありませんでした。さらに傍若無人に振る舞っていたあのエリの子二人ホフニとピネハスも戦死する始末です。二人のこの戦死は例の預言者の預言通りだったのです。契約の箱はその後ペリシテ人に奪われ7か月間イスラエルに不在でした。

=注目地名=

地名①エベン・エゼル(1):英語Ebenezer;ヘブル語エベンハーイゼール[助けの石]

地名②アフェク(1):英語Aphek;ヘブル語アフェイク[囲い]