サムエル記第一2章-2

サムエル記第一2章-2
=本章の内容=
❷サムエルとエリの子達➌神の人の託宣
=ポイント聖句=26,一方、少年サムエルは、主にも人にもいつくしまれ、ますます成長した。
33,わたしは、あなたのために、わたしの祭壇から一人の人を断ち切らないでおく。そのことはあなたの目を衰えさせ、あなたのたましいをやつれさせる。あなたの家に生まれてくる者はみな、人の手によって死ぬ。
❷1-21節:サムエルとエリの子達・・・サムエルの成長の様子とエリの子達の所業が交互に記されています。両者をそれぞれ際立たせる書き方です。
サムエル(1)11節・・・幼子は祭司エリのもとで主に仕えていました。幼くして幕屋の規律や聖書を学ばされていたのでしょう。母親に甘えることもできず厳しい生活を当たり前としていたのです。
エリの子達(1)12-17節・・・「18・・・エリの息子たちはよこしまな者たちで、主を知らなかった」とありますが、「よこしまな」はヘブル語でベリアルが用いられており、これはカナン人の異教の神にちなんでいます。自分だけに仕えるエリの無価値な息子たちとは違い、サムエルは絶えず神に仕えたことが際立って見えます。「主を知らなかった」とありますが、文字通り主なる神様の臨在を体験していない人物が祭司職を行っているのです。さらに彼らの悪行が事細かに記されています。13-16節でこの二人は祭司としての2つの規定違反を犯しています。①「14,・・・肉刺しで取り上げたものをみな」とあります。本来祭司は受け取れる肉の部位が決められているはずです。(申命記18:3)②「15-16,・・・脂肪が焼かれる前に・・・力ずくで取る」とあります。本来脂肪を食することは許されていません。脂肪は主なる神様への捧げもののはずです。(レビ記3:3-5)エリの息子たちは好き勝手を祭壇の前で行ってきたのです。士師記に続き祭司の中にも霊的腐敗が起こっていたことを証するものです。
サムエル(2)18-21節・・・「18,・・・亜麻布のエポデを身にまとった幼いしもべ」とあるように儀式服をまとって献身的には幕屋で一人前に働いていたのです。ハンナはサムエルの成長に合わせ上着を作り届けていました。無論この時両親は主なる神へ多くの捧げものを携え上ったことは言うまでもありません。このサムエルの両親の健気な姿を見てエリは毎回祝福を怠りません。主なる神様もまた二人を祝福し、ハンナに5人の子供を授けるのでした。
➌22-36節:神の人の宣告・・・エリの子達はますます罪を重ねていきますが年老いたエリには成す術がありません。幕屋の会見の天幕の入り口で細々とした雑用をしていた女性と強引に性的関係を持っていたのです。妻として娶ることのない性関係はすなわち姦淫の罪(申命記5:18)です。死罪と見なされる犯罪行為です。しかも彼らの行為はこの時点で公然に知れ渡っていたのです。しかし父エリは断罪もできず、戒めることさへできなかったのです。また息子たちも聞く耳を持たなかったのです。神の人は次の重要な2点をエリに宣告します。『①祭司アロンを立て栄誉ある神事に当たらせた。アロンの直系の子孫であるのにも拘わらず、この特権をエリとエリの息子たちは蔑ろにした。また数々の罪を犯したままでいる。故にエリの一族は主なる神様から断絶される。エリの息子は人によって殺害される。②重要な祭司職を継続させるために一人の人物を残しておく。(サムエル)』①の言葉の通り4章で二人の息子は外敵ペリシテ人の手によって殺害されます。しかもこの時「神の箱」さへも奪われてしまうのです。神の人の宣告を聞き入れエリとその子達が神様の前に悔い改めれば異なった展開が待っていたのです。本章は士師記の続編の様に思える個所です。イスラエルの民衆だけでなく祭司職にも腐敗が蔓延っていたことが記されています。漆黒の暗闇を破滅へと突き進むイスラエルでしたが、神様はご自分の民を見捨てることが無かったのです。
=注目語句=語句①よこしま(12):英語Belial;ヘブル語べリエイェール[価値のない]・・・新約聖書ではサタンの名前として用いられている。(Ⅱコリント6:15)ヘブル語ではそのまま「ベリアルの子達」とされている
=注目地名=