列王記第一11章-2

列王記第一11章-2(14-25節)
=本章の内容=
❷反逆者ハダドとレゾン
=ポイント聖句=14,こうして主は、ソロモンに敵対する者としてエドム人ハダドを起こされた。彼はエドムの王の子孫であった。
25,彼は、ソロモンが生きている間、ハダドのように悪を行ってイスラエルに敵対し、イスラエルを憎んだ。こうして彼はアラムを支配した。
❷-1ハダド(14-22節):主なる神はソロモンに敵対する者としてエドム人ハダドを起こされました。彼の生い立ちはサウル王から逃避行を行っていたダビデの青年時代を彷彿とさせます。ハダドは「エドム王国」の末裔ともいえる存在です。ソロモンの父ダビデや叔父にあたるヨアブによって一族郎党が皆殺しにされるのを目撃してきた人物です。さぞかしイスラエル人に対する激しい怨念を持ち続けていたことでしょう。ここに登場するファラオは第21王朝の王プスセンネス1世(在位:前1039 – 前991年)でした。この頃のファラオの方針は、東の隣人と友好関係を持ち同盟を結ぶことだったようです。このファラオは一方でソロモンと姻戚関係を持ったわけですが、ソロモンはあまりエジプトとの交易に積極的ではなかった様で、エジプトには交易による利益が思ったほどもたらされなかった様です。しかもソロモン帝国の軍事力増強の様子は次第にエジプトの脅威となっていたのです。そんな折、イスラエルに遺恨を抱いた人物エドム人ハダドの登場は時のファラオにとって、ファラオに代わってソロモン帝国の弱体化を図ることのできる好機となると踏んだのです。ファラオはエドム人ハダド一行を歓迎し、領内での生活を保障するばかりか、姻戚関係を利用して、エドムをファラオの配下に置こうとしたのです。ところが、ダビデとヨアブの死を知ると、エドム人ハダドはエジプトでの地位や平安な生活を放棄し、エドムに戻り先祖代々の王位の回復を試みました。ハダドの波状的なテロ攻撃はソロモン帝国に次第に脅威となっていきました。ところが、エドム人の領土全体に配置されていたソロモン帝国の強力な守備隊の鉄壁の守りに阻まれて敗戦の連続で次第に勢力を失っていたようです。仮にエジプトに残り、エジプト軍を率いる一軍の将となってソロモン帝国を攻めたのなら状況は変わっていたかもしれません。
❷-2レゾン(23-25節):主なる神はソロモンに敵対する者としてレゾンを起こしました。彼もまたダビデとの戦闘行為で敗戦した王国の王子でした。彼の場合はハダドとの戦闘行為では異なり、地元で不満分子を集めテロ集団を作っていました。やがて一大勢力となってダマスカスに定着し王国となっていきました。
語句②タフペネス(19):英語Tahpenes;ヘブル語タフペネイス・・・紀元前1000年頃
語句③ゲヌバテ(20):英語Genubath;ヘブル語ゲヌバス[盗難]・・・タフペネスは彼をファラオの家で離乳させ、その子をとても気に入ったので、彼女はその子を王の宮殿内で他の王族の子供とともに育て帝王学を学ばせていた。
語句④エリヤダ(23):英語Eliadah;ヘブル語エリアダー[神は知っている]
語句⑤レゾン(23):英語Rezon;ヘブル語レゾーン[王子]・・・エリヤダの息子であり王子。ダビデがゾバを征服する(Ⅱサムエル8:3-8)と、レゾンはハダデゼルへの忠誠を放棄し、独立した首長として権力を握り、ダマスカスを占領し自ら国王となった。 エドム人ハダドとともに、ソロモン帝国を脅かす存在として、イスラエル王国の南部、北部で波状的にテロ攻撃をしかけていた。
語句⑥ハダドエゼル(24):英語Hadadezer;ヘブル語ハダッドエゼール[ハダッドは助け]・・・ゾバ(現在のシリヤ。イスラエル北部)の王。 アンモン人の王ハヌンは、ダビデに対する戦いを助けるために、ハダデゼルの軍隊を雇い入れた。 これに対してヨアブが派遣され、連合軍の二つの戦闘隊、首都ラバに向かうアンモン軍、メデバ近郊のシリア傭兵にいるのを見つけた。 戦いの最中、シリア人は散り散りになり、アンモン人は驚いて首都に逃げた。 この後、ハダドエゼルは「国境を回復するために」北上し軍を回復する(Ⅱサムセル8:3.)もダビデとの戦闘行為で完全敗退。ダマスカスはダビデの属国となった。