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列王記第一9章-5

2025年4月4日

列王記第一9章-5(26-29節)
=本章の内容=

❼船団

=ポイント聖句=

26,また、ソロモン王は、エドムの地の葦の海の岸辺にあるエイラトに近いエツヨン・ゲベルに船団を設けた。

=黙想の記録=

●ここに登場する船団は英語では「艦隊」を意味する単語が使われています。単なる商戦だけでなく、海賊対策の為、武器を持った兵士が同乗しているか、あるいは組織だった兵士だけの艦船があったと推測されます。当然船団が寄港するための整備された港湾があり、それなりに発展しなおかつ要衝ともなっていたのがエツヨン・ゲベルです。北アフリカとの交易には是非とも必要な場所です。ヒラムが貧弱なガリラヤをソロモンから不承不承もらい受けたのは、諸外国との交易で出向させるべき船団にどうしてもソロモンの軍事力が必要だったわけで、この点で利害が一致していたからです。すでにヒラムはエジプトとの交易を順調に進めていましたが、ヒラムが輸出できるのはレバノン杉くらいで、他には収益を上げるものはありません。資金を稼ぐためにもソロモンの南下政策に便乗する必要があったのです。そこでソロモンがかねて目を付けていた金の産出地オフィルに向かう為に、ソロモンに協力し船団と水夫を惜しみなく提供していったのです。スエズ運河などありませんから、エツヨン・ゲベルからは陸路でイスラエルの領地を通過しなければなりません。こうしたことから見てもソロモンとヒラムは相当の強力な利害関係があったわけです。蛇足になりますが、ソロモン帝国では軍馬(馬・ロバ・ラバ・ラクダ)の育成が盛んでそれらを輸出できる状態にあったという説があります。四百二十タラントはヘブル語では420キッカルで14,280kg。現在金は1gで約15000円ですから単純計算でも2142億円になります。これが3年に一度イスラエルにもたらされるわけですから、膨大な金額となる訳です。もちろん交易で取り扱われるのは金だけではありません。銀、宝石、黒檀、その他の貴重な種類の木材。さらには高価な香辛料や香水。また愛玩動物として、孔雀、オウム、類人猿などの珍しい生き物が取引されていたようです。イスラエル人は自国を世界を股に掛ける一流国と見なすようになっていくのです。所謂「選民意識」はこんな所からもたらされたのかもしれません。宗教がその威容を自慢するようになった時、信仰心は薄れ選民意識が増長する物です。

=注目語句=

語句①船団(26):英語a navy of ships;ヘブル語オニ―[艦隊、艦船]・・・商船とそれを護衛する軍艦で編成されていたと想定される。

=注目地名=

地名①エイラト(26):英語Eloth;ヘブル語エルース[高木の森]・・・アカバ湾のこと。紅海北東岸にある港
地名②エツヨン・ゲベル(26):英語Eziongeber;ヘブル語エツィオン・ゲゼール[巨人の背骨]・・・正確な場所は特定されていないが、アカバとエイラートの間にあったと考えられている。エジプトのファラオ島がエツヨン・ゲベルではないかという説もある
地名③オフィル(28) :英語Ophir;ヘブル語オフィール[灰化]・・・アラビア南部の土地または都市。

 

列王記第一

Posted by kerneltender