列王記第一9章-3

列王記第一9章-3(15-19節)
=本章の内容=
➌地方都市の整備
=ポイント聖句=19,ソロモンの所有するすべての倉庫の町々、戦車のための町々、騎兵のための町々、またソロモンがエルサレム、レバノン、および彼の全領地に建てたいと切に願っていたものを建てた。
=黙想の記録=●ソロモンは外からの脅威に対しては「要塞都市」を貿易の進展の為には「交易都市」を次々に建設し、兵や官吏を派遣しています。今まで国の防衛を各部族に丸投げしていたわけですから、軍隊と言えども昨日は野良仕事をしていて急に戦闘に駆りだされる素人集団です。この為外敵からすれば穴だらけの国家でどこからも攻め込むことができたわけです。その意味で言うなら常備軍は中央集権国家だからこそできる組織的な防衛手段と言えるのです。確かにその意味では一瞬強固な国家になったと錯覚できるのです。しかしソロモン亡き後はこの常備軍も新兵器を持つ帝国軍には全く歯が立たないのです。
●「19,・・・彼の全領地に建てたいと切に願っていたものを建てた。」の言葉は、伝道者の書2章にソロモン自身が回想を思い起させます。「快楽を追ってみよう、愉悦に浸ってみよう。(新共同訳2:1)」と言う動機が、精力的な都市の建設意欲の一つだったことをソロモンは吐露しています。外部者が見れば有能な国王による強固な国の建設であり、「善王たる証拠」のように映るのです。「主の栄光の為」という動機はそこにはないのです。
語句①役務者(15):英語levy(KJV徴集), forced labor(ESV強制労働);ヘブル語マース[強制労働者, 暴力団員, 労働組合] =注目地名=
地名②ミロ(15):英語Millo;ヘブル語ミロウ[城壁,土塁,積み上げる]・・・シェケム近郊。ダビデが建設したエルサレム要塞の一部。ヨセフスは、ソロモンがダビデの城壁をより高く、より強くし、その上に塔を建てたと言っている。
地名③ハツォル(15):英語Hazor;ヘブル語ハツォール[城]・・・ナフタリに割り当てられたパレスチナ北部の王立都市。ユダの最南端にある都市の一つ。北の同盟国であるヤビンの町(ヨシュア記11:1) 。ヨシュアはハゾルを焼き(ヨシュア11:13)、領土はナフタリに割り当てられた(ヨシュア19:36)。しかし、それは古い所有者によって取り戻され、再建された(士師記4章)。ソロモンは北の脅威に備え先住民を追い出し、要塞化した。
地名④メギド(15):英語Megiddo;ヘブル語メギドウン[群衆の場所]・・・カナンの古代都市で、マナセに割り当てられ、カルメル山から10km、ナザレから18kmのエスデラエル平原の南縁。
地名⑤ゲゼル(15):英語Gezer;ヘブル語ゲゼール[部分]・・・エフライム国境にあるレビ族の町
地名⑥下ベテ・ホロン(17):英語Bethhoron;ヘブル語ベイスホローン[空ろな家,洞窟の家]・・・エフライムにある2つの町。ペリシテとエジプト方向からの敵の侵入に際し障壁となる重要な要衝。
地名⑦バアラテ(18):英語Baalath;ヘブル語バアラー[女主人]・・・ダン部族の町。ペリシテ人との国境にある要衝。
地名⑧タデモ(18):英語Tadmor;ヘブル語テドゥモール[ヤシの木]・・・ゾバのハマス征服後ソロモンによって建設された都市。ダマスカスから約190km離れた砂漠の真ん中にあり、水が豊富なオアシスがある。ダマスカスとバビロンと北の両方との貿易に非常に適した場所である。