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列王記第一9章-1

2025年2月19日

列王記第一9章-1( 1-9節)
=本章の内容=

❶ソロモンへの最終警告

=ポイント聖句=

4,もしあなたが、あなたの父ダビデが歩んだように、全き心と正直さをもってわたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことすべてをそのまま実行し、わたしの掟と定めを守るなら

=黙想の記録=

●1-9節はソロモン自身二度目の「神体験」となります。一度目はまだ神殿が建立されていない時代にギブオンで行われた大掛かりな祭事の直後でした。主はソロモンの夢枕に立っていました。そして二度目の今回は神殿建立と言う大事業が終了し一息入れている時でした。いずれも人前で大胆に自分の信仰告白をした直後と見ることもできます。ダビデの継承者として国王の政務を順調にこなしてきました。異邦人との婚姻を除いてはダビデの様な落ち度は何一つ見つかりません。異邦人との婚姻を除いてはダビデの様な落ち度は何一つ見つかりません。エジプト王家と婚姻関係を結んだのは平和を維持するためだったのです。他国との平和維持の為なら手段は全く気にならなかったと言えるのです。つまり「結果オーライ」ということになります。主が現れたのは、信仰生活においても政務に関しても完璧に熟(こな)して来たことをソロモンが自画自賛していた時だったのです。有頂天になっているソロモンを心配する余り、主はソロモンに語り掛けた個所と言えるのです。実はこうした時こそとても危険な人生の選択を行いがちなのです。列王記の作者は神殿建立を「ソロモンの信心深さ」の結果とは見ていませんでした。「1,・・・ソロモンが造りたいと望んでいたすべてのものを完成させたとき」と記し、「主の御心を成し遂げた」のではなく「自分の望みを成し遂げた」と揶揄しているかのようです。ですから列王記の作者はこの「主なる神の顕現」はご褒美ではなく、神殿での警告と合わせて「ソロモンへの最終警告」と見なしていたのです。残念ながらこれほどまでに取り扱われた居ながらソロモンは主への信仰心を次第に蔑ろにしていくのです。「ソロモンへの最終警告」はソロモンの野心(肉の人)を捨て去る決意には繋がらなかったのです。
●「4,もしあなたが、あなたの父ダビデが歩んだように、全き心と正直さをもってわたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことすべてをそのまま実行し、わたしの掟と定めを守るなら、」と主なる神はギブオンでソロモンが告白した言葉をそのまま引用しています。そこでダビデの人生を顧みるにダビデは決して完璧な信仰者ではありませんでした。ダビデは単純明快な十戒も守れず、「殺人・姦淫・一夫多妻や民を数える不従順の罪」を犯して続けてきた俗物にしかすぎません。ソロモンにもそう映っていた筈です。主なる神が見ておられたのは、ダビデの業績ではありません。また信仰者としての実績でもありません。主なる神が注目されたのは罪を犯した直後の素直な「悔悟の心(詩篇51:17)」であり主への従順だったのです。サムエルによって指導されていた青年時代から国王になるときまでのダビデは「主の導きに信仰によって応えていた」時代でした。「主の御心を尋ね求める求道心があった」時代でした。確かに外見上は次々と外敵を破り自他ともに認める善王と見えていたのです。ところが百戦錬磨の業績が次第にダビデに慢心を引き起こし、挙句の果てには「主に委ねる生活」から「己の心に欲するままに生きる」生活にと変質してしまったのです。人に湧き上がる「自信」は時に「高慢」を生み出してしまう要因になってしまうものなのです。今ソロモンもダビデ同様「人生の分岐点」に来ているのです。主が望まれた生き方は「4,・・・全き心と正直さをもってわたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことすべてをそのまま実行し、わたしの掟と定めを守る」ことでした。要約するなら「主の御心を求める求道心と人生を主に委ねる心を持ち続ける」生き方でした。今のソロモンに欠落していたものだったのです。
●見方を変えるとソロモンの生き方は実母バテ・シェバの後姿を投影するものでした。バテ・シェバはダビデ王からの誘いを断固として断ることもできたはずです。バテ・シェバは軍司アヒトフェルの孫娘とされています。しがない一兵卒の妻として貞淑に生きるより、女王として艶やかに生きることを彼女は選び取ったのです。姦淫の罪・夫殺害の重罪を犯したダビデ王の共犯者とも言えるのです。これらの重罪に何の良心の呵責すら持ち合わせていなかったのです。つまり「正しい信仰生活」より「結果オーライの生き方」をソロモンに植え付けていたとは言えないでしょうか。
●6節以降には警告を警告として受け取らなかったイスラエルの行く末が預言されています。国王ソロモンの生き方がその後のイスラエルに暗い影を投げかけることを主はソロモンに暗示しているのです。「8,この宮は廃墟となり、そのそばを通り過ぎる者はみな驚き恐れてささやき、『何のために、主はこの地とこの宮に、このような仕打ちをされたのだろう』と言う。」と主は語られました。「建立されたばかりの光り輝く神殿がよもやそんなことになるとは。主は何て不吉なことを仰るのだろう。」との一抹の不安がソロモンに湧きおこることはなかったのでしょうか。警告を警告として受け取れなかったのはイスラエルではなくソロモン自身であったことは言うまでもありません。

=注目語句=

語句①全き心(4):英語integrity of heart;ヘブル語トーム[完全性,純真,誠実] 語句②正直さ(4):英語uprightness, godliness;ヘブル語ヨシェール[直立,均一性,正々堂々,何が正しいのか] =注目聖句=

4,もしあなたが、あなたの父ダビデが歩んだように、全き心と正直さをもってわたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことすべてをそのまま実行し、わたしの掟と定めを守るなら(新改訳2017)
4もしあなたが、父ダビデが歩んだように、無垢な心で正しくわたしの前を歩み、わたしがあなたに命じたことをことごとく行い、掟と法を守るなら、(新共同訳)
4,And if thou wilt walk before me, as David thy father walked, in integrity of heart, and in uprightness, to do according to all that I have commanded thee, and wilt keep my statutes and my judgments(KJV)【直訳】もしあなたが、あなたの父ダビデのように、心の誠実さと正直さをもって、わたしがあなたに命じたすべてのことを行い、わたしの掟と裁きを守るように、わたしの前を歩もうとするなら
4, As for you, if you will follow me with integrity and godliness, as David your father did, obeying all my commands, decrees, and regulations,(NLT)【直訳】あなたがたは、あなたがたの父ダビデのように、誠実で誠実な態度でわたしに従い、わたしのすべての命令、命令、規則に従うなら

列王記第一

Posted by kerneltender