列王記第一8章-9

列王記第一8章-8(62-66節)
=本章の内容=
❹おびただしい犠牲を捧げる
=ポイント聖句=66,八日目に王は民を帰らせた。民は王に祝福のことばを述べ、主がそのしもべダビデと、その民イスラエルに下さったすべての恵みを喜び、心満たされて、彼らの天幕に帰って行った。
=黙想の記録=63節にある牛22000頭と羊120000匹はあまりにも膨大な数です。仮庵の祭りの期間7日間だけでこの数の動物たちを犠牲に捧げたとするなら次の様な計算が成り立つのです。
[牛の場合]22000頭÷(7日×24時間×60分)≒2.2頭。つまり1分で2頭。
[羊の場合]120000匹÷(7日×24時間×60分)≒11.9匹。つまり1分で12匹
これをレビ人が処理したとなると大変な労働時間が必要となり、過酷な仕事と言わざるを得ません。(日本では食用として屠殺される牛の数は1分で2頭と同じです。)
また用意された牛と羊を日本の家畜として価格計算すると次の様な計算が成り立つのです。
[牛の場合]170万円×22000頭=37億4千万円
[羊の場合]1.2万円×120000匹=14億4千万円
これに上質の穀物の捧げものが加算されるのですから53~55億の経費が惜しみなく使われたことになります。現代2024年のイスラエル国家予算は5840億円。つまり約1%の国家予算を費やしたことのになるのです。
●ところでこれだけの数、これだけの金額の犠牲を捧げる根拠はどこにあるのでしょうか。注目聖句であげた様にこのおびただしい数の犠牲はソロモンの所有物だけではありません。ソロモンが用意した物以上に各部族から持参した犠牲の動物の方が多かったのではないでしょうか。ダビデが人口調査をした際(Ⅰ歴代誌21:5)によれば剣を使える成人男性だけで157万人(イスラエル110万人・ユダ部族47万人)と記述されています。この数字から一説には、この神殿建立式の参加に預かった各部族の長・諸氏族の長の合計人数を10000人と見積もることができるとのことです。ならば部族長1名が牛2頭、羊100頭を持参したとするのなら、このおびただしい数の犠牲は納得できるのではないでしょうか。また神殿で奉仕できるレビ人(30歳以上の男子)の数は24000人(Ⅰ歴代誌23:1)はこの驚異的な数の犠牲の処理が行えたものと思われます。しかしいくらだだっ広い神殿の中庭とはいえ、10万人以上の人々を収容できたとは思えません。祭壇では間に合わなかったので、「64,その日、王は主の宮の前庭の中央部を聖別し、そこで全焼のささげ物と、穀物のささげ物と、交わりのいけにえの脂肪を献げた。主の前にあった青銅の祭壇は、全焼のささげ物と、穀物のささげ物と、交わりのいけにえの脂肪を受け入れるには小さすぎたからである。」との記述があるほどだったのです。整然とした儀式とする為に何らかの規定を設け入場者制限を行っていたものと推測されます。
●「65,・・・七日と七日の十四日間」という表現は「七日と七日」の間には間があったことを表しています。「66,八日目に王は民を帰らせた」とあるところから7日間の神殿建立式を7日間行い民を神殿から去らせ、8日目からはエルサレム近郊に設置された各自の仮庵(テント)で、正式な仮庵の祭りを7日間開催させたものと思われます。帰郷したのではなかったのではないでしょうか。エルサレム近郊にのこりソロモン王家との一体感、ユダヤ民族としての一体感を体感できたのではないでしょうか。これこそがソロモンの狙いだったのです。
=注目聖句=
62,それから、王と、一緒にいたすべてのイスラエル人は、主の前にいけにえを献げた。(新改訳2017)
Ⅱ歴代誌7:4それから、王とすべての民は、主の前にいけにえを献げた。(新改訳2017)
62, 王はすべてのイスラエル人と共に主の御前にいけにえをささげた。 (新共同訳)
62, And the king, and all Israel with him, offered sacrifice before the LORD(KJC)【直訳】そして、王と彼と共にイスラエルのすべての人々は、主の前に犠牲をささげました。
62, Then the king, and all Israel with him, offered sacrifice before the LORD(ESV)【直訳】その時、王と彼と共にイスラエルのすべての人々は、主の前で犠牲をささげました。
※新改訳2017の列王記以外は「彼と共に」と言葉が使われているところから、この犠牲はソロモン王の所有物だけでなく全イスラエルの所有物であることが伺い知れる。
66,八日目に王は民を帰らせた。民は王に祝福のことばを述べ、主がそのしもべダビデと、その民イスラエルに下さったすべての恵みを喜び、心満たされて、彼らの天幕に帰って行った。(新改訳2017)
66, 八日目に王は民を去らせた。民は王に祝福の言葉を述べ、主がその僕ダビデとその民イスラエルになさったすべての恵みの御業を喜び祝い、心晴れやかに自分の天幕へと帰って行った。(新共同訳)
66, On the eighth day he sent the people away: and they blessed the king, and went unto their tents joyful and glad of heart for all the goodness that the LORD had done for David his servant, and for Israel his people.(KJV)【直訳】8日目に民を送った。彼らは王を祝福し、主がそのしもべダビデとその民イスラエルのためになされたすべての善を喜び、心から喜び、彼らの天幕に向かいました。