列王記第一8章-6

列王記第一8章-6(8:41-45)
=本章の内容=
➌ソロモンの祈り(4)具体的内容⑤⑥
=ポイント聖句=44-45,あなたの民が敵との戦いのために出て行くとき、遣わされる道で、あなたがお選びになった都、私が御名のために建てた宮に向かって主に祈るなら、天で彼らの祈りと願いを聞いて、彼らの言い分を聞き入れてやってください。
=黙想の記録=⑤異国人が祈るとき(41-43節)・・・ヨシュアの時代・士師の時代・ダビデの時代に異国人をあれほど排斥していたのが180度政策が変更されているのです。神殿建築の技術者や労働者、兵役についている軍人また将校の中にさへ異国人が居たのです。イスラエルの中で異国人勢力は侮れない存在です。また国益を第一とするソロモンの政策の一つが他国との交易です。神殿建立以前から積極的に交易を進めてきた結果エルサレムに頻繁に他国からの来訪者があることを想定しているのです。インバウンドで日本に来る外国人がそうであるように、この時代交易の為に来る異国人はほぼ無宗教と想定されるのです。最近ではテレビ番組で日本の神社参りをする外国人をよく見かけます。彼らは熱心な神道信者と言うわけでは無く、単純に日本文化に触れてみたいという観光者にすぎないのです。来訪する異国人が全てユダヤ教改宗者とは限りません。つまり来訪する異国人また在留異国人は全てイスラエルに国益をもたらす存在なのです。計算高いソロモンが異国人をどう取り扱うかが伺い知れる部分です。しかしソロモンのこの融和政策がソロモン自身を不信仰に誘導してしまうことになるのです。
⑥軍人が祈るとき(44-45節)・・・ソロモンは今後もいずれかの時点で戦闘行為が起こるのはやむを得ないと想定しています。ここでの戦闘行為とは交易を妨害する海賊や盗賊の討伐のことで領土拡大の侵略戦争ではありません。しかしこの戦闘行為も国益の為ですがソロモンは敢えて「主なる神の命」と位置づけ戦闘行為を肯定しているのです。ところで日本語訳から読み取れませんが英語訳には「哀願」「擁護・維持」という後ろ向きな単語が使われており、すでにこの時点でこの軍人たちが敗戦し敵の捕虜となっている光景が読み取れるのです。⑦ではもっと決定的な祈りとなって表現されています。列王記の作者エレミヤはバビロン捕囚を経験した人物でこの部分はエレミヤの追記ではないかという説がありますが、ソロモン以前でも戦闘の結果敵国の捕虜になった人々がいたのは史実です。ソロモンの輝かしい治世を讃美すべきところなのに敢えて省略せずにこの部分を残して置いたことに意味を持たせたと思うのです。
【追記】エレミヤ書7:4『あなたがたは「これは主の宮、主の宮、主の宮だ」という偽りのことばに信頼してはならない。』とエレミヤが嘆いていますが、まさにソロモンの祈りのことを言っているかのようです。
41,同様に、あなたの民イスラエルの者でない異国人についても、その人があなたの御名のゆえに、遠方の地から来て(新改訳2017)
41,それから、外国人があなたのすばらしさを聞き、遠い地からはるばる礼拝に来て、この神殿に向かって祈るなら(リビングバイブル)
41, Moreover concerning a stranger, that is not of thy people Israel, but cometh out of a far country for thy name’s sake(KJV)【直訳】さらに、見知らぬ人については、それはあなたの民イスラエルのものではなく、あなたの名のために遠い国から出て来るのです
41, Also concerning the foreigner who is not of Your people Israel, if he comes from a far country for Your name’s sake(ESV)【直訳】イスラエルの民でない外国人は、あなたの名のために遠い国から来たのです。
※英語では遠方からわざわざやって来る「ありがたい」人々というニュアンスが表現されています。
44,あなたの民が敵との戦いのために出て行くとき、遣わされる道で、あなたがお選びになった都、私が御名のために建てた宮に向かって主に祈るなら(新改訳2017)
44イスラエルの民があなたの命で戦いに遣わされるとき、あなたがお選びになった町エルサレム、私があなたのために建てたこの神殿に向かって祈るなら(リビングバイブル)
44, If thy people go out to battle against their enemy, whithersoever thou shalt send them, and shall pray unto the LORD toward the city which thou hast chosen, and toward the house that I have built for thy name(KJV)【直訳】もしあなたの民が、あなたが彼らを遣わすべき敵と戦うために出て行き、あなたが選んだ町と、私があなたの名のために建てた家に向かって祈るなら
44, If your people go out where you send them to fight their enemies, and if they pray to the LORD by turning toward this city you have chosen and toward this Temple I have built to honor your name(NLT)【直訳】もしあなたの民が敵と戦うために彼らを遣わした所に出て行き、もし彼らがあなたが選ばれたこの町、またはあなたの名を称えるために私が建てたこの神殿に向かって祈るなら
※英語では戦闘の動機は「主なる神の命令」と明記されている
45,天で彼らの祈りと願いを聞いて、彼らの言い分を聞き入れてやってください。(新改訳2017)
45,あなたは天にいましてその祈りと願いに耳を傾け、彼らを助けてください。(新共同訳)
45, Then hear thou in heaven their prayer and their supplication, and maintain their cause.(KJV)【直訳】天において彼らの祈りと哀願を聞き、彼らの訴えを維持してくださる。
45, then hear their prayers from heaven and uphold their cause.(NLT)【直訳】そして、彼らの祈りを天から聞き、彼ら擁護してくださる