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列王記第一7章-3

2024年7月29日

列王記第一7章-3(7:23-26)
=本章の内容=

➌ヒラムの作品(2)海

=ポイント聖句=

25,「海」は十二頭の牛の上に据えられていた。三頭は北を向き、三頭は西を向き、三頭は南を向き、三頭は東を向いていた。「海」はこれらの牛の上に載せられていて、牛の後部はすべて内側を向いていた。

=黙想の記録=

⑵海(23-26節)・・・次に、ヒラムは神殿入り口前に大きな青銅製の「海」を作りました。この巨大な鉢は、出エジプト30:18-21にある幕屋前に置かれた青銅製の「洗盤」の代わりとして設計されたものです。洗盤にはなみなみと水が満たされ、祭司達は全ての儀式を執り行う前に旋盤の中にある水で手足を洗い清めました。新しい旋盤は直径4.6m、周囲14.4m、深さ2.3mです。半球の容積=半径の3乗×円周率×4÷3÷2です。最大容積は25.47キロリットル(18ℓの石油缶で1415個分)の容積となります。ところが「26,その容量は二千バテ(46キロリットルで)であった。」とあることから半球の計算の2倍になって矛盾しています。仮にこのバテをイスラエルの標準的な容器(1個12.7リットル)で二千杯分としたら辻褄が合うのではないでしょうか。いずれにしてもこのサイズなら、祭司は手足を洗うだけでなく、全身を水の中に浸すことさへ可能です。しかしこの「海」への登り階段のことは一切記録されていません。つまり全身入浴の為ではなかったのです。一説によれば獅子の口をした蛇口がありそこから水を排出していったようです。つまり二千バテの水は祭司の清めだけではなく、犠牲となった動物たちの血を洗い流す為にも用いたのではないかと推測されるのです。現代流に言えば「給水塔」です。
水の重量は実に25.47トン。この巨大な洗盤は12頭の青銅の牛の背中に載せられていました。1頭当たりにかかる重量は約2トン以上。この洗盤を支える牛は四本足で立っている描画になっていますが、これでは足1本に500kgの圧力がかかることになり果たして支え切れるかどうか疑問の余地があります。仮に足を折り曲げ地面に伏している形状ならこの重量を支え切ることができるでしょう。無論これだけの重量のある器具ならば数センチでも移動は不可能でしょう。牛は3頭ずつ東西南北に向けて配置されていました。12頭の牛はイスラエル12部族を表現したものと推測されますから、イスラエル12部族が四方八方に進軍し「海」つまり「世界」を支配する巨大国家へと発展することを願ったものです。ソロモンの同意の元ヒラムが表現したかったのはイスラエルが不動の首都エルサレムを中心とする巨大国家に発展することだったのではないでしょうか。しかし同時にこの巨大な容器を足を曲げてまでも支える牛になぞらえたところに、主なる神ではなく巨大な権力を持つイスラエルの君主への献身は12部族にとって当然の義務であることを表現したものだったのでしょう。しかしながらこの不動の器物「海」は後にカルデヤ人によって破壊され金属としての「青銅」としてエルサレムからバビロンに運ばれてしまうのです(Ⅱ列王記25:13)。

=注目語句=

語句①海(23):英語sea;ヘブル語ヤ―ム[海]…旧約で289回用いられている。

列王記第一

Posted by kerneltender