列王記第一6章-6

列王記第一6章-6(6:23-28)
=本章の内容=
❽ケルビム
=ポイント聖句=27,ケルビムは神殿内部に置かれた。ケルビムは翼を広げていて、片方のケルビムの翼は一方の壁に届き、もう片方のケルビムの翼はもう一方の壁に届き、また両者の翼は神殿の真ん中に届いて、翼と翼が触れ合っていた。
=黙想の記録=❽23-28節:ケルビム・・・ソロモンがつくらせたケルビムは新アッシリア帝国のアッシュールナツィルパル2 世(在位:BC883年-859年)の宮殿の門扉や入り口に置かれた、翼のある野獣を描いた巨大な石像人頭有翼獅子像やエジプト第四王朝のカフラー(在位:BC2558年頃-2532年頃)が作らせたスフィンクスに酷似している。アッシリア文明はBC2000年う頃には存在していたのでソロモンがつくらせたケルビムはエジプトまたは古代アッシリアの彫像に影響されたものと思われます。ところが出エジプトで主なる神様によって命じられた契約の箱の宥めの蓋(出エジプト25:17ー22)の両端に置かれていたケルビムとは異なります。契約の箱をモチーフにした現代のレプリカを見るといずれも正座をしているヒト型で四つ足ではありません。確かに座位よりも四つ足で立たせた方が威風堂々として見えます。つまりソロモンは自身の威厳をアピールするために、ここでも正当なイスラエルの歴史から逸脱し異教徒の文明に倣おうとしていたのです。ところがここでもソロモン独特の詭弁が見られるのです。それはこの大型のケルビムの素材は石ではなくオリーブの木でした。石に鉄製の道具を当てていたわけでは無いのです。「律法を反故にしたわけでは無い」というソロモンの言い訳が見えてくるのです。樹高や直径から考えるとこの規模のケルビムを一本掘りするのは不可能です。したがって胴体・足・羽・頭部といくつかのパーツに分けて作り後で組み立てていたと思われるのです。またオリーブは木目がはっきり見えてしまうため金箔で覆う必要があったのです。ソロモンは「ケルビムもどき」を作ったに過ぎないのです。内殿(至聖所)には契約の箱さへ安置すれば良い所を身の丈4m以上もある強大なオブジェを契約の箱を守るように翼で覆いかぶせしかも本殿に向かって仁王立ちしているのです。この二体のケルビムの姿は人間ソロモンが契約の箱の守護者であるかのように感じさせるのです。つまりソロモンは「神以上の存在である」ことを誇示していたと思われるのです。
=注目語句=語句①ケルビム(23):英語cherubims;ヘブル語ケルーブ(複数形はケルビム)…旧約聖書中に67回登場する。エデンの守護者(創世記3:24)。契約の箱の「宥(なだ)めの蓋」の両端に置かれていた。
語句②オリーブ材(23):英語olive tree;ヘブル語シェメン・エイツ・・・高密度の木質。よく乾燥させたオリーブは非常に硬質で叩くと甲高い音がするほどである。樹高10m直径1m程度。
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