列王記第一6章-2

列王記第一6章-2(6:7)
=本章の内容=
➌神殿建設中の音
=ポイント聖句=7,神殿が建てられたとき、石切り場で完全に仕上げられた石で建てられたので、工事中、槌や斧や、いかなる鉄の道具の音も、いっさい神殿の中では聞こえなかった。
=黙想の記録=➌7節:神殿建設中の音・・・「7,神殿が建てられたとき、石切り場で完全に仕上げられた石で建てられたので、工事中、槌や斧や、いかなる鉄の道具の音も、いっさい神殿の中では聞こえなかった。」とありますが、石切りの作業を建築現場で行わなかったのは「神殿建築の場所は神聖な地。よって静寂を必要としていた。」というのが本当の理由なのでしょうか。ならば石を積み上げる音や材木を組み立てる木槌の音あるいは監督の怒鳴り声は全くなかったと言えるのでしょうか。「石切り場で仕上げられた石」にはどうも他の意味があるようです。以下にまとめてみました。
【第一の理由】律法違反を有耶無耶にするため・・・「石の祭壇を造るなら切り石で築いてはならない。のみを当てると石が汚されるからである。(出エジプ記20:25)」や「石の祭壇に鉄の道具を当ててはならない。(申命記27:5)」と律法にありますがこれは祭壇に関する規定であり、「石で祭壇を造るという人間の欲求」を許可したに過ぎないのです。「石を加工する技術」は「石による彫像で偶像を作り出す」危険性があったからです。ダビデおよびソロモンは「石を積みあげる」ことで神殿を造ろうとしています。エジプトの神殿はもとよりペリシテ人の神殿も石を積み上げて造られています。それは当時の異教徒の間では当たり前だったのです。「布で覆われた天幕(テント)」が神殿ではイスラエルはいつまでも遊牧の民と蔑まれのです。ダビデ・ソロモンの威厳にかけても「石積み」でなければならないのです。ところが律法の規定では神事に使う石に鉄器を当ててはならない規定があったわけですから、それをエルサレムの建築現場で行えば律法違反を追及される可能性があったのです。エルサレムから石切り場までは約800m。石に鉄器を当てる現場など見える筈もありません。民衆はピカピカに磨き上げられた立派な直方体の石に目を奪われ、上述の律法のことなど頭に浮かびもしなかったのです。これがソロモンの狙いです。「律法違反を有耶無耶にする」それが本当の理由ではないでしょうか?ソロモンがエジプトのファラオの娘を娶るということは、「非常に高度なエジプトの建築技術を利用できる」関係にあるとも言えるのです。ファラオにしてみれば婿に当たるソロモンですから、ソロモンからの技術者の招聘に快諾できるのも当然の筈です。こんなところにもソロモンがファラオの娘と婚姻関係を持った理由が見えるのです。
【第二の理由】騒音被害を回避するため・・・上述したように現場で砕石や石切り作業を行えば大変な騒音がエルサレム中に響き渡るのは当然です。エルサレムに居住する人間の健康を損なうのは目に見えています。石切り場のゼデキヤの洞窟からエルサレムの間は800m。これだけ離れていれば騒音は聞こえてきません。
=注目語句=語句①石切り場(7):英語quarry(NLT)[採石場、石切り場];ヘブル語メッサ―[採石する,砕石する]・・・「ソロモンの採石場」としても知られるゼデキヤの洞窟はモリヤの山から北北西約800mにある。これだけ離れていれば採石の音は騒音とは言えない。ここから切り出される石はライムストーンと呼ばれる白い石灰岩で加工しやすい。ピラミッドに使われている。
=神殿の建築方法= ソロモン神殿の場合、モリヤの山に組み立てられる石材を採石場で設計図通り正確に切り取りあとは慎重に運搬して建設現場に運び入れ設計図通りに組み立てればよいことになる。まさに現代のユニット工法とも言える。【ユニット工法】日本にはセキスイハイムという建築会社がある。ここは鉄骨ラーメン構造の住まいを80%まで工場で仕上げてしまうボックスユニット工法を採用している。ラーメン構造とは柱と梁を一体化させた骨組みで建築物を支える構造で高層ビルに用いられる構造と同じ。工場で製作された用途に合わせた部屋は施主の敷地まで運ばれクレーン車で次々と組み合わされる為、工期は短縮され、近隣住民への騒音問題が緩和される。隣家が正に子のセキスイハイムのユニット工法で作られていったので短い工期と静かな作業が印象に残った。 =騒音について= ❶音の大きさ
騒音レベル | 目安(デシベル) |
ジェット機のエンジン直近・ハンマードリル | 120 db |
自動車の警笛(2m)・【杭打ち】・【採石場】 | 110 db |
❷騒音値の基準と目安
目安①(うるささ) | 目安②(身体/生活への影響) | 騒音値(db) |
きわめてうるさい | 聴覚機能に異常をきたす | 100db以上 |
うるさくて我慢できない | 80db以上 |