列王記第一4章-2

列王記第一4章-2(4:7-19)
=本章の内容=
❷守護リスト
=ポイント聖句=27-28,守護たちはそれぞれ自分の当番月に、ソロモン王、およびソロモン王の食卓に連なるすべての者たちのために食糧を納め、不足させなかった。また彼らは、引き馬や早馬のために、それぞれ割り当てにしたがって、所定の場所に大麦と藁を持って来た。
守護リスト支配地域 | 守護 |
エフライムの山地(8) | フルの子 |
マカツ、シャアルビム、ベテ・シェメシュ、エロン・ベテ・ハナン(9) | デケルの子 |
アルボテ[ソコと、ヘフェルの全地](10) | ヘセデの子 |
ドルの全高地(11) | アビナダブの子 |
タアナク、メギド、またイズレエルの下ツァレタンのそばのベテ・シェアンの全域、ベテ・シェアンからアベル・メホラ、ヨクメアムの向こうまでの地(12) | アヒルデの子バアナ |
ラモテ・ギルアデ・ヤイルの町々(ギルアデ)・アルゴブ(バシャン)の地域[六十の大きな町](13) | ゲベルの子 |
マハナイム(14) | イドの子アヒナダブ |
ナフタリ(15) | アヒマアツ |
アシェルとベアロテ(16) | フシャイの子バアナ |
イッサカル(17) | パルアハの子ヨシャファテ |
ベニヤミン(18) | エラの子シムイ |
ギルアデ[アモリ人の王シホンとバシャンの王オグの領地](19) | ウリの子ゲベル |
【地区1】 エフライムの山地(8)・・・パレスチナで最も肥沃で美しい地域でエフライムの所領の高地全てを包含しています。エベル山とゲリジムの間の豊かな平野にあるシケムの町を囲み将来のサマリアの中心地域でした。
【地区2】マカツ、シャアルビム、ベテ・シェメシュ、エロン・ベテ・ハナン(9)・・・ユダの北西の平野地域です。ダン部族の所領でしたが、ほぼペリシテ人によって支配されていました。マカツ、シャアルビム、ベテ・シェメシュ、エロン・ベテ・ハナンの町は、ヨシュア記19:41-43に記されています。ペリシテ人によって略奪された神の箱が最初に戻って来たイスラエルの町がベテ・シェメシュです。
【地区3】アルボテ[ソコと、ヘフェルの全地](10)・・・ユダの所領の一部でした。ソコはヨシュア記15:35で言及され、1サムエル17:1-3にはダビデがゴリアテを殺した戦場の近くにあったと記されています。ヘフェルはヨシュアによって征服された古いアモリ人の町(ヨシュア記12:17)です。アルボテと改名されています。
【地区4】ドルの全高地(11)・・・カルメル山の麓のマナセの所領にあります。ドルはヨシュア記11:2で、ヤビンの下で北の連合体の一部を形成しその後征服され(1列王記12:23)マナセに与えられた(列王記上17:11)と記されています。
【地区5】タアナク、メギド、またイズレエルの下ツァレタンのそばのベテ・シェアンの全域、ベテ・シェアンからアベル・メホラ、ヨクメアムの向こうまでの地(12)・・・イズレエルの大平原の大部分を占め、北パレスチナからヨルダン渓谷にまで及ぶ広域で重要な地域とされています。タアナク、メギド、ベテ・シェアンは、マナセによる占領地域と言うより属国としたカナン人の町々です(ヨシュア記17:11;士師記1:27)。タアナクとメギドはデボラの歌で言及されています(士師記5:19)。メギドは、ユダ王国アハズヤの死(Ⅱ列王記9:27)とヨシヤの死(Ⅱ列王記下23:29)に関係する場所です。ベテ・シェアンは、サウルの遺体がさらしものになっていたところです(Ⅰサムエル31:12)。エリシャの生誕地であるアベル・メホラ(Ⅰ列王記19:16)はベテ・シェアン南方です。ギデオンによるミデアン人の敗走した場所です(士師記7:22)。
【地区6】ラモテ・ギルアデ・ヤイルの町々(ギルアデ)・アルゴブ(バシャン)の地域[六十の大きな町](13)・・・マナセとガドの所領の大部分を占めています。岩だらけの地域であまり肥沃な土地ではありません。ラモテ・ギレアデはガドのレビ人の町であり、のがれの町でした(申命記4:43;ヨシュア記 20:8;ヨシュア記21:38)。マナセの子ヤイルに占領されたため「ヤイルの町々」と呼ばれました。
【地区7】マハナイム(14)・・・ガドの所領にあるマハナイムの地方のことです。マハナイム(要塞化された主要都市)は、カナン征服後にダンの所領でした(ヨシュア記13:26、21:38)。イシュボシェテが拠点として場所でした(Ⅱサムエル2:8)。ダビデがアブサロムから逃れて身を固めた場所(Ⅱサムエル17:24)でまたバルジライやその他有力な人物から大量の物資を受け取った場所です。
【地区8】ナフタリ(15)・・・ヨルダン川の上流、ヘルモン山の南で、ゲネサレト海の北西岸の一部とメロムの水域を含みます。北方先住民連合の中心をなすハツォルと、レビ人の逃れの町ケデシュ・ナフタリ(ヨシュア12:22・ヨシュア19:37)があります。
【地区9】アシェルとベアロテ(16)・・・カルメル山から北に伸び、起点は海岸沿いに、次にレバノン山脈の背後に伸びていた。士師記1:31-32には、アシェルの部族は割り当てられた領土を占領せず(ヨシュア記19:24-30)、先住民と混在して住んでいたと書かれています。
【地区10】イッサカル(17)・・・マナセの北にあるイッサカルの所領。イズレエルの大平原の一部を含んでおり、地区5と非常に密接に結びついていたので地境はかなり流動的であったという説があります。
【地区11】ベニヤミン(18)・・・ベニヤミンの領土(エルサレム自体を含む)は、小さいながらも、エリコ、ベテル、ギベオン、ラマを含み、ユダからエフライムまで広がり、後にユダ王国となった高地。人口密集地域で他地域とは桁外れの武力資力を持つ地域です。
【地区12】ギルアデ[アモリ人の王シホンとバシャンの王オグの領地](19)・・・地区7の南方で、牧畜地域であるルベンとモアブの境にあるガドの一部を含んでおり、おそらく王族の家畜があったとされています。
=黙想の記録= ❷7-19節:守護リスト・・・12人の守護の任務は王族と王国維持の為に各地域から貢物を徴収しエルサレムに届けるものです。守護は12か月に1度のローテーションで貢物をエルサレムに届ける責任を負っていました。12の地域はナフタリ、イッサカル、ベニヤミン等の一部部族を除いて厳密には部族制度に則った部族の所領という単位ではありませんでした。ソロモンが12の地区を新たに設置したと言えるでしょう。この守護を統括していたのがソロモン王の甥にあたる政務次官のアザルヤです。日本の廃藩置県にも似た大改革でしたが、イスラエルの場合この部族の所領を廃止し新たな12区分を設けるのはユダ以北の多くの部族の反感を買うことになり、この反動がイスラエルを北王国と南王国に分裂させる大きな要因となっています。 =注目語句=語句①守護(7):英語officers(KJV), deputies(NLT);ヘブル語ナッサーブ[代理人,役人,将校]・・・行政官(リビングバイブル)・知事(新共同訳)・代官(口語訳)
※日本で守護といえば鎌倉幕府・室町幕府が置いた武家の職制で、軍事・警察権を中心に諸国の治安・警備に当たった役職のこと
人名①フル(8):英語Hur;ヘブル語ベンハー[白人の息子]
人名②デケル(9):英語Dekar;ヘブル語ベンデカェー[刺傷の息子]
人名③ヘセデ(10):英語Hesed;ヘブル語ベンハセッドゥ[慈悲の息子]
人名④アビナダブ(11):英語Abinadab;ヘブル語ベンアビナダブ[アミナダブの息子]
人名⑤タファテ(11):英語Taphath;ヘブル語タフェース[装飾]・・・ソロモンの娘
人名⑥アヒルデ(12):英語Ahilud;ヘブル語アヒルードゥ[子供の兄弟]
人名⑦バアナ(12):英語Baana;ヘブル語バアナー[苦しみの中に]・・・ヨシファテの兄弟(4:3)
人名⑧ゲベル(13):英語Geber;ヘブル語ベンゲベール[ゲベルの息子]
人名⑨イド(14):英語Iddo;ヘブル語イドウ[彼の証人]
人名⑩アヒナダブ(14):英語Ahinadab;ヘブル語[私の兄弟は高貴(革新系)]
人名⑪アヒマアツ(15):英語Ahimaaz;ヘブル語アヒマハァツ[私の兄は怒っている]・・・おそらくツァドクの息子(Ⅱサムエル17:17)
人名⑫バセマテ(15):英語Basmath;ヘブル語ボスマァス[香辛料]・・・ソロモンの娘
人名⑬フシャイ(16):英語Hushai;ヘブル語フシャイ[急いでいる]・・・バアナの父フシャイはダビデの旧知の間柄でありアブサロムの反乱でダビデ側に付いた人物(Ⅱサムエル15:32)。息子バアナの登用はこの功労への恩賞と思われる。
人名⑭バアナ(16):英語Baanah;ヘブル語バアナー[苦しみの中に]・・・ヨシャパテの兄弟(4:3)
人名⑮パルアハ(17):英語Paruah;ヘブル語パルアファ[芽を出す]
人名⑯ヨシャファテ(17):英語Jehoshaphat;ヘブル語イェシェホバットゥ[エホバは裁かれた]・・・父はフシャイ
人名⑰エラ(18):英語Elah;ヘブル語エラー[楢(なら)]
人名⑱シムイ(18):英語Shimei;ヘブル語シムイ―[有名な]・・・ベニヤミンの子だがダビデを呪ったシムイとは別人(Ⅰ列王記1:8)
人名⑲ウリ(19):英語Uri;ヘブル語ウリ―[燃えるような]
人名⑳ゲベル(19):英語Geber;ヘブル語ゲベール[戦士] ・・・広大な土地をたった一人で任されていた