列王記第一3章-2

列王記第一3章-2(3:2-4)
=本章の内容=
❷ギブオンでの大イベントの意味
=ポイント聖句=4,王はいけにえを献げようとギブオンへ行った。そこが最も重要な高き所だったからである。ソロモンはそこの祭壇の上で千匹の全焼のささげ物を献げた。
=黙想の記録=❷2-4節:ギブオンでの大イベントの意味・・・律法には「異教徒の用いた礼拝場所をことごとく破壊し消し去るように(申命記12:2-3)」、また「勝手な場所ではなく主なる神様が選ばれる場所で全焼のささげ物をささげるように(申命記12:13-14)、さらに「全焼のささげ物は幕屋の祭壇でをささげる」との規定があります。ところが実際には上記のリストの様に数多くの場所に幕屋なしの祭壇が存在しそこで主要な人物や諸部族は勝手に全焼の生贄をささげていたようです。「4,王はいけにえを献げようとギブオンへ行った。そこが最も重要な高き所だったからである。ソロモンはそこの祭壇の上で千匹の全焼のささげ物を献げた。」とありますが、ギブオンには幕屋はありましたが、契約の箱や青銅の祭壇はすでにエルサレムの神殿建設場所に移送されていました。ソロモンはこの時なぜギブオンに行く必要があったのでしょうか。さらになぜ千匹の全焼のささげ物をささげる必要があったのでしょうか。エルサレムに神殿を建立したあとに賑々しくこの大イベントをすればよかったのではと思いませんか。ギブオンでの大イベント開催の理由は簡潔に言えば『古い幕屋から決別し神殿礼拝を開始する宣言』なのです。現代流に言えば「墓じまい」の儀式をソロモンはギブオンで行ったわけなのです。ギブオンには古い幕屋が残されており、そこにはモーセが作った石の祭壇が残っていました。ギブオンはエルサレムにダビデの町が建設されてもなお一大都市でユダ族を除くイスラエル11部族にとっての聖地だったのです。しかしここはベニヤミン族の所領です。ベニヤミン族の所領にイスラエルの心の拠り所を残しておくのは甚だ不都合なことなのです。心の拠り所がギブオンにあれば聖地巡礼と称して自然にギブオンに11部族が終結し何の施策無しで人々が集まり自然に発展してしまうのです。ソロモンによる新政権にとってギブオンがエルサレム以上に発展してはならないのです。千匹の全焼のささげ物をささげるには概ね1週間を必要とします。この千匹の全焼のささげ物は第一にソロモン王がいかに信仰に忠実であるかをアピールするものであり、第二にソロモンの絶大な権力や勢力をアピールするものです。しかしもっと重要なのはイスラエル全部族の部族長達を一堂に会し、今後はソロモン王が建立する「エルサレム神殿での礼拝が国民的な行事になる」ことを周知徹底させる。これがギブオンでの大イベントの目的です。古い幕屋での礼拝は可動式です。つまり安定していないのです。幕屋にとって代わる神殿は固定です。つまり国家が安定するからこそできることなのです。イスラエル全部族が平和で安定した政権維持をソロモンに託すように仕向けたのがこのギブオンでの一大イベントなのです。
=注目語句=語句①高き所:英語high places(KJV), local places(NLT);ヘブル語バマー[高い所,尾根]・・・この当時大別すると(1)主なる神様が許可した礼拝場所(2)無許可の場所(異教徒の礼拝場所を含む)が存在していた。以下は主な人物による全焼の生贄が捧げられた主な場所(カナン)と人物
場所 | 人物 | 聖書箇所 |
エバル山 | ヨシュア | ヨシュア8:30-31 |
ヨルダン川のそば | 2.5部族 | ヨシュア22:10 |
アドナイ・シャロム | ギデオン | 士師記2:2 |
ツォルア | マノア(サムソンの父) | 士師記13:2-25 |
べテル | 11部族 | 士師記21:2-4 |
ヨシュアの畑 | べテ・シュメシュ人 | Ⅰサムエル6:14 |
ミツパ | サムエル | Ⅰサムエル7:6-10 |
ラマ | サムエル | Ⅰサムエル7:17 |
ギルガル | サウル | Ⅰサムエル13:9 |
べテ・アベン | サウル | Ⅰサムエル14:35 |
ベツレヘム | サムエル | Ⅰサムエル16:51 |
オルナンの打ち場(エルサレム) | ダビデ | Ⅰ歴代誌21:15-26 |