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列王記第一1章-3

列王記第一1章-3(1:39-53)
=本章の内容=

❹ソロモンの即位❺アドニヤ側の反応

=ポイント聖句=

46-47,しかも、ソロモンはすでに王の座に就きました。そのうえ、王の家来たちが来て、『神がソロモンの名をあなたの名よりもすぐれたものとし、その王座をあなたの王座よりも大いなるものとされますように』と、われらの君、ダビデ王に祝福のことばを述べました。すると、王は寝台の上でひれ伏されました。

52,すると、ソロモンは言った。「彼が立派な人物であれば、その髪の毛一本も地に落ちることはない。しかし、彼のうちに悪が見つかれば、彼は死ななければならない。」

=黙想の記録=

❹39-40節:ソロモンの即位・・・「39,祭司ツァドクは天幕の中から油の角を取って来て、ソロモンに油を注いだ。」とありますが、「ただし神の箱は、既にダビデがキルヤト・エアリムからエルサレムに幕屋を張って備えた場所に移してあった。(新共同訳:Ⅱ歴代誌2:4) 」ですでに天幕の内容物はエルサレムに運び入れてあったことから神殿以前に神殿に安置される調度品はエルサレムにあったことが推測されます。この中に事前に用意された特別な儀式で使われる油注ぎの為の牛の角の容器も準備されていました。ここでもアドニヤが国王即位の為の正式な段取りを取っていなかったことを列王記作者は表現したかった様です。「40,民はみな、彼の後に従って上って来た。民が笛を吹き鳴らしながら、大いに喜んで歌ったので、地がその声で裂けた。」とあります。角笛や笛の音そして民衆の叫び声が渓谷を響き渡ったことを大げさに表現したもので実際に地割れが起こったのではありません。アドニヤの謀反は数人の重鎮とヨアブを筆頭にする軍人には支援されていただけで、一般民衆の気持ちとは乖離していたことを表現したものです。アドニヤはそれこそ俄か作りのイベントでとて質素なものでしたが、ソロモンの方は仰々しく角笛を吹き鳴らすなど派手な演出の伴うイベントだったのです。民衆受けしたのは後者だったのです。

❺41-53節:アドニヤ側の反応・・・僅か700m先での出来事です。この大騒ぎは否が応でもアドニヤの宴会場に届きます。参加者全員が訝しく思っているところにエブヤタルの子ヨナタンがやって来て顛末を報告します。この知らせを吉報と捉えるくらいアドニヤは能天気な人物です。この知らせはアドニヤを始め参列者を震撼させます。ヨナタンはギホンでの仰々しい儀式の様子だけでなく「46-48,しかも、ソロモンはすでに王の座に就きました。そのうえ、王の家来たちが来て、『神がソロモンの名をあなたの名よりもすぐれたものとし、その王座をあなたの王座よりも大いなるものとされますように』と、われらの君、ダビデ王に祝福のことばを述べました。すると、王は寝台の上でひれ伏されました。また、王はこう言われました。『イスラエルの神、主がほめたたえられるように。主は今日、私の王座に就く者を与え、私がこの目で見るようにしてくださった。』」と儀式の後のことまで詳細に報告するのです。「王座に就いた。ダビデが新王に向かって寝台の上でひれ伏した。」とは国王の実権が完璧に移譲されたことを表現したもので、以降直ちに国王ソロモンとして言葉に効力があることを意味しています。「49,アドニヤの客たちはみな身震いして立ち上がり、それぞれ帰途についた。」客とは「ヨアブやエブヤタルやソロモン以外のダビデの子供達」を意味しています。しかし集まった者達の多くはヨアブ率いる軍人たちの筈です。本来ならアドニヤに従いソロモン率いる軍隊と一戦を交えてもいいはずの所、そそくさと家路を急ぐところを見ると、ヨアブからの制約を受けていないと判断できます。ヨアブが私利私欲の為に軍を率いたとするならアドニヤを死守するところです。しかし兵の命の方がアドニヤよりも大事に思えるヨアブは決して強制しなかったのです。「50,アドニヤもソロモンを恐れて立ち上がり、行って祭壇の角をつかんだ。」とありますが、恐らくこれはダビデの町の北部にある神殿候補地に仮設置されている幕屋に安置された祭壇のようです。「祭壇の角を掴む」行為は罪を犯した者が神の救いと助けの恵みを求め我が身を神に委ねる意味がありました。青年期まで何不自由のない王宮にいたわけですから逃亡生活はアドニヤは端から無理と分かっているのです。斯くなる上は今まで全く無視して来たユダヤ教による救済手段に頼るしかないのです。苦しい時の神頼みなのです。サウルの様に潔く自害することもできなかったのです。ソロモンはアドニヤを幕屋から引き摺り出し蟄居を命じます。「52,もし彼が潔くふるまうなら、危害は加えまい。しかし、そうでなければいのちはない。」 のソロモンの言葉は寛大な国王として民に印象付ける為です見せます。兵を動かした騒乱罪には違いないのですが血が流されたわけではありません。国民感情を考慮した場合ここでアドニヤ以下を捕縛し死刑にすれば「兄をも殺す冷酷な王」というレッテルが貼られるでしょう。しかし、時をおいて何かの理由を見つけてアドニヤを死罪にする意志はもち続けているのです。ソロモンもまた民衆の目を気にする国王でもあったのです。

=注目語句=

語句①万歳(39):英語God save;ヘブル語ハヤー [永遠に生きる,豊かに生きる,生き返る]

語句②油の角(39):英語horn of oil;ヘブル語ケレン・シェメン[角・油(脂肪)]

語句③地が避けた(40):英語earth rent;ヘブル語エレックス・バケー[大地・割れる(引き裂かれる,解散する)]・・・シオンの城塞に向かい笛を吹き鳴らし大声で叫んだので地は彼らの叫び声で城壁や大地は割れそうになった。エリコの城壁が角笛と兵士の叫び声で倒壊したことを彷彿とさせる。

語句④王座に就く(46):英語sitteth on the throne of the kingdom【直訳】王国の王座に座る;ヘブル語ヤシェーブ・アェール・ケッセイ・メルハー[座った・上に・王座・王国]

列王記第一

Posted by kerneltender